ある日の事だ。
魔法界(俺が魔法を学んだ異世界である)から、魔術書が届いた。
弟子(参照:
弟子、現る)のサメリから、鑑定して欲しいとの伝言付きだ。
「ふーん……」
パラパラとページを捲り、軽く目を通す。
所謂『分身の術』を解説した魔術書の様だ。
呪文は『パンピラ語(呪文に使われる言語の一種だぜ)』で書かれている。
「なあ柚季。俺が突然20人くらいに増えたらどうする?」
「なにそれ……ちょっと気持ち悪いかな……」
「き、気持ち悪いってなんだ! 気持ち良いと言え!!」
「だって、わらわらと群がってくるお兄ちゃんを想像すると……」
「くっ! こうなったら無理にでも気持ち良いと言わせてやる!」
俺は勢いだけで呪文の詠唱を始めた。
「俺の魔法を見せてやろぉぉ!!」
*
ポン、ポン、ポン、ポポポポポン。
魔法の詠唱が完了すると、俺が30人増えた。
リビングが狭い。
「お、お兄ちゃん、何これ……」
「「「逆ハーレムだ」」」
「一斉にこっちを見ないで! ハモらないで! パンツ脱がないで!!」
こうして実際に自分自身が大量に存在しているのを見ていると、頭がおかしくなりそうだ。
はっきり言って、想像を上回る気持ち悪さだ。
俺は覆面の魔法を唱えた。
リビングを埋め尽くす大量の『俺』は真っ白なマスクに顔を覆われた。
少しはマシになったか。
「このお兄ちゃんが、オリジナル?」
「おう。さすがは俺の妹だ。どんなに姿形が一緒でも、コピーとオリジナルの区別がつくなんて!」
「他のお兄ちゃんはマスク被ったじゃん……」
この件に関しては、柚季の愛と結論付けて終わらせておく。
本来の目的を果たさんと、俺のコピー達が、柚季に群がり出した。
ある者が後ろから羽交い絞めにし、正面にいたコピーは胸を揉みしだく。
「きゃっ、や、やだぁっ、こんなっ……んっ……レイプみたいなっ、あぁっ、だめぇ!」
服の中に手を入れたり、指先や太ももに舌を這わせたりと、好き放題だ。
柚季の口からこぼれたレイプの単語に、確かにと、思った。
コピーとは言え、自分自身が狼藉を働いているので、素直に擬似寝取られに興奮する事にした。
徐々に衣服が崩れ、肌の露出が増え、淫らな姿に変わってゆく柚季に、俺は勃起した。
「と、俺も加わる前に、少し読んでおくか」
このコピー共の後始末も考えなくてはならん。
一生この家をウロウロされては、自分自身とは言え、ぶちのめしてしまいそうだ。
「やっ、そ、そんな所、舐めないでっ……! あっ、あぁっ、だからって、指で撫でないでぇ……」
いやらしく全身をまさぐられ、嬌声混じりに文句を言う柚季の声をBGMに、魔術書に視線を落とす。
ふむ……ふむ……。
どうやらコピーを消滅させるには、イカせる必要があるようだ。
さらに、最後のコピーが消滅すると、これまでコピー達が感じた快楽が、術者に集積されると記されていた。
なんだコレ! ただのエロ魔法じゃねぇか!
サメリの奴、分かってて送って来たのだろうか。
「うっ、うう、出るぅぅ!!」
コピーの一人がうめき声を上げた。
柚季の頬にちんぽを擦り付けていた奴が、果てるらしかった。
どびゅっ、びゅるるっ!
頬に押し付けた亀頭の先から、精液があふれ出た。
小さな悲鳴を上げた柚季の頬を白濁液で汚し、コピーは消えた。
「えっ、なに? き、消えたの……?」
「そいつらは射精をすると消える様だ。だから、頑張れ、柚季!」
「が、頑張れって、きゃっ、ちょ、ちょっと、やだ、やだぁっ……!」
コピー達が強引に柚季を抱きかかえ、寝そべるコピーに跨らせた。
騎乗位でセックスさせようと言うのだろう。
「んっ、ああぁっ、……入っちゃったぁっ……あっ、あっ、あ、突き上げられてるぅ、あぁぁ!」
両手は別のコピーのちんぽを握らされた。
周囲のコピー達も脇を舐めたり、背中にちんぽを擦り付けたりと、自由に柚季の身体を弄んでいる。
「どうだ、ちんぽに囲まれ、全身を性処理に使われる気分は」
「やっ、やぁっ、そんな事言わないで……、あ、あんっ……」
「そう言う割には、涎まで垂らして、腰振ってるじゃないか」
「んっ……あぁ……」
俺の言葉に、柚季は感じたのだろう。
腰の動きが早くなった。
ぬちゅ、ぬちゅ、と結合部から卑猥な音を鳴らし、柚季は「犯される」セックスに没頭していく。
「あっ、あぁぁー……お兄ちゃんのちんぽいっぱいでっ、変になっちゃうよ……んっ、んんん!」
寝そべっていたコピーが果てたようだ。
コピーが消滅すると、柚季はぺたんと、床に尻餅を付いた。
一息つかせる暇もなく、今度は四つん這いの格好を取らされる柚季。
尻を持ち上げられ、露になったまんこからは、精液がトロトロと逆流していた。
おかまいなしにちんぽを突っ込む。
「はっ、あぁっ!! またちんぽ来たぁ……やっ、あっ、あぁぁ!」
先に出された精液をポタポタ滴らせながら、新たなちんぽに犯される姿は非常に淫靡に映った。
気付けば、痛い程にちんぽが勃起していた。
だが、ここはじっと待つ。
コピー共の快感全てを味わいながら、最後に柚季の膣内にたっぷりと精液を注ぎ込むのだ。
俺はひたすら待った。
口を大きく開き、精液を待ちわびる柚季、ちんぽをしゃぶりながら、腰を振る柚季。
様々な方法で淫らにちんぽを愛で、射精に導く。
その光景に、何度もちんぽに手が伸びかけたが、その度グッと堪えた。
やがて、最後のコピーが絶頂を向かえた。
精液が掛かっていないのは眼球くらいではないかと思える程に、柚季は全身を汚されていた。
「はぁ……はぁ……お兄ちゃん……」
ちんぽ汁を滴らせ、ふらふらと立ち上がった柚季は、見方を変えればホラー染みていた。
俺は身体に魔力が集まりいくのを感じながら、身に着けていた物を全て脱いだ。
むくむくと沸き上がる力は、快感であると言えたが、射精には及ばない。
魔術書を読み違えていたのか、コピー達が味わった快感は? と疑問が浮かんだ。
俺の前で跪いた柚季が、股間に顔を寄せた。
「お兄ちゃんの金玉……大きくなって来てるぅ……」
「なに!?」
まさか、魔術書に記されていた、快感の集積とは、コピー達が放った分の精液を一度に射精する事を意味していたのか。
俺の焦りを他所に、睾丸はどんどんと大きくなっていった。
射精への欲求が高まり、ちんぽをピンと上を向いた。
その先端からは止め処なく我慢汁があふれ出す。
こ、これはヤバイぞ……。
要するに、30回分の射精を一度に味わうのだ。
未知の体験への恐怖と期待に、俺は生唾を飲んだ。
柚季は惚けた顔で、逞しくなり過ぎている俺のちんぽを舐めている。
「くっ……は、始まる……!」
びゅくっ……!
一発目の精液が放たれると、柚季は俺を押し倒した。
精液に塗れた身体が、ぬるぬると絡み付いてくる。
ぴったりと密着させた身体をぬるぅとスライドさせ、柚季はまんこの入口をちんぽに押し当てて来た。
「はぁっ、はぁ、お兄ちゃんのちんぽ汁、いっぱい柚季にちょうだい?」
ぬちゅぅ。
二発、三発と続けて、絶え間なく射精しているちんぽが、柚季のまんこに飲み込まれた。
コピー達が放った精液と、柚季の中からあふれ出す愛液が混じり、ちんぽに纏わりつく。
「ああっ、ゆ、柚季ぃ!」
びゅるるるるるる。
もはや膣内で何が起こっているのか、分からないほどだ。
噴水の様に精液を撒き散らす快感に、俺はガクガクと全身を震わせた。
「いっぱいっ、あぁぁっ、いっぱい出てる! お兄ちゃんの精子、柚季の中に、いっぱい! いーっぱい!」
ごぽっ、と精液を逆流させながらも、柚季はさらに寄越せといわんばかりに、身体を揺らす。
互いの身体に挟まれた柔らかなおっぱいが、俺の体を撫で上げ、ぬちゃぬちゃと淫らな音を立てる。
「も、もうっ……だ、だめだ……!」
終わる気配のない、射精とそれに伴う快感に、俺は意識を失った。
*
分身の術を試した日から、数日が経った頃、柚季の留守を狙ってサメリが訪ねて来た。
「あの、師匠。先日お願いした魔術書の鑑定結果ですが……」
「おう、なんだ?」
「……ちんぽ ヤヴァイ とだけ書かれた報告書では、何が何だか……」
「あー……と言うか、お前、内容分かってて俺に依頼して来たのか?」
サメリは一瞬黙ってから、首を横に振った。
「本当かよ……。まあ良い、呪文や効果は、こんな具合だ」
サメリに送りつけたのとは別に、真面目に作った解析結果を見せる。
「ふむふむ。呪文はパンピラ語で、コピーを消すには性的快感を最大まで高める必要がある、と……」
「おい、習得するのは勝手だが、俺の前では使うなよ!」
「何故ですか?」
「快楽に狂うサメリを見たいとは思うが、その前に30人とか1人で相手にするのは、無理だ」
「師匠もコピーを作って、乱交させれば、お互いに快感を得られるかと思いますよ」
確かに……。
「……お前って、時々俺より変態的な発想するよな」
俺は、顔を赤く染めるサメリをからかいつつ、いつか実行しようと心に決めるのだった。
おわり